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日本に拠点を置く注目スタートアップSakana AIとは?生成AIを用いた小説が芥川賞を受賞など

sayhi2.ai Newsletterをご覧いただきありがとうございます!

今回は、インパクトの大きかったニュースや注目ツールの紹介に加え、数学オリンピック金メダリストレベルのAIに関する解説を行います!

1. 直近のビッグニュースTop 3

① Sakana AIが45億円を資金調達

Sakana AIは、元Googleの研究者であるLlion Jones, David Haの2名によって立ち上げられた会社です。Jonesは、ChatGPTにも使用されている生成AIの中核技術Transformerを提案した「Attention Is All You Need」論文の著者でもあります。
同社は2023年8月に東京に設立されて以降、大きな注目を集めてきました。

そして本年1月16日、Sakana AIは45億円の資金調達を行ったと発表しました。
出資元には、シリコンバレーのVCである米Lux Capitalや米Khosla Venturesに加え、日本からはNTTグループ、KDDI、ソニーグループも名を連ねています。
加えて創業メンバーの名も明らかになっており、日本人からは、元Preferred Networks (PFN) の有名なエンジニア秋葉拓哉氏が参加しています。

Sakana AIは、独自の生成AIモデルの開発を行っており、特に多数の小型AIを効率的に連携させることに注力しています。以下は、出資元のNTTによる説明図です。

「NTTと日本発のAIを広めていく」 45億円調達のSAKANA AIが目指すもの(https://businessnetwork.jp/article/18309/)より引用

現在AIモデルの開発においては、言語モデルの性能と入力データ・計算資源の量が正比例の関係にあることを示した「スケーリング則」に則り、データ量やモデルサイズを大きくしていくことが主流になっています。しかし、この流れに乗るためには莫大な資金力が必要である上、量的なアップグレードを担保し続けることが難しく、持続可能性が低いと言われています。
今回の資金調達を手段として、Sakana AIはこういった課題を打破しようと考えているのではないでしょうか。

社名にも使われているSakanaは、日本語の「魚」に由来しており、「分散、自律的、効率的なAIの開発を目指すべく、小さな個々の魚が群れを成すなどの行動判断といった自然界の法則に着想を得た」とのことです。
AI分野のスーパースターが集まる同社が生成AIモデル開発におけるゲームチェンジャーになるのか、今後の動向に目が離せません。

② 画像内のあらゆるものを置き換えられる!実用特化の技術をアリババが公開

中国EC大手のアリババが、画像内のあらゆるものを置き換えられるモデル「ReplaceAnything」を発表しました。

この技術の特に画期的な点として、以下のように商品を固定して、一緒に写る人物や服装などを変えられるという特徴があります。商品がそれ以外の部分から浮くことなく、自然に接合されています。(拡大して見たい方はこちらから)

さらに素晴らしい点は、こういった画像編集が非常に簡単な操作でできてしまうことです。例えば左上のダウンコートの例では、ダウンをワンクリックするだけで、自動的にマスキングが施されます。あとは「コートを着る女性」とテキストを入力すれば、目的の画像が得られます。(下記投稿で実際に試してみた動画を載せています)

もちろん生成画像がぎこちないことがあったり、生成する人物を画像で直接指定できないなど課題も多くありますが、更なる進化が楽しみな技術です。こちらのデモから実際に試すことができます。

こういった編集技術が加速度的に発展し、民主化していく未来はほとんど確実に来ると思われます。広告クリエイティブやSNSでの加工技術にも導入され、よりユーザーフレンドリーなAIが普及していくことでしょう。

③ 芥川賞受賞作品の5%に生成AIの文章がそのまま使用

先日芥川賞が発表され、九段理恵さんの「東京同情塔」が受賞しました。審査員からも極めて高い評価を得ていましたが、実はChatGPTが執筆に使用されており、「全体の5%くらいは生成AIの文章をそのまま使っている」ということが作者本人の口から明らかになりました。

「生成AIの文章をそのまま使っている」というコメントがあまりに衝撃的だったため、私もこのニュースを知ったその日に本を購入しましたが、読了後合点がいきました。

この本の舞台は、2026年から2030年にかけての日本で、「AI-built」という対話型AIが市民の生活に広く普及した世界を描いています。登場人物とAI-builtの対話シーンが度々登場しますが、そこでのAI-builtの返答は、いかにも生成AIが書いたと言わんばかりの、冗長かつ当たり障りのないものでした。

「本文をお読みになったらわかると思いますが、どこが生成AIでどこがAIでないか、すぐにおわかりになろうかと思います。」と九段さんも仰っていることから、今回のAIの使用は、AIらしさを表現するための手段だったということになりそうです。生成AIがプロ作家に匹敵する文学性を備えた文章を書けるようになるには、まだ時間がかかるでしょう。

2. SNSで話題のAIツールをピックアップ!

SNSで話題になっているAIツールの中から、特におすすめできるものをピックアップしました。後ほど見返すかもしれないという方は sayhi2.ai でブックマークしておきましょう!

※ログイン後、左上の画像内、右上の赤いボタンを押すことで、ブックマークが可能

Runway (Multi Motion Brush) (https://sayhi2.ai/ja/product/runwayml_com)

  • 最も有名な動画生成AIツールのうちの一つ。今回新たに「Multi Motion Brush」機能が搭載

  • 画像から動画を生成する際、画像の動かしたい箇所をブラシでなぞって指定できる。最大5箇所指定でき、動きの方向と量までコントロール可能

  • 複数箇所を同時に別方向に動かせるようになったことで、制御の幅が広がり、思った通りの動画を生成できる可能性が飛躍的に上昇

  • 18日より一般向けにもリリース。無料かつサインアップするだけで即使用可能

テキストでこの機能の素晴らしさを説明するには限界があるため、是非こちらの動画をご覧ください!

なお、思った通りの動画を生成するにはコツがいるので、こちらの投稿の真似から始めるのがおすすめです。

  • キャラクターやポーズを指定した画像生成を手軽に試せるツール

  • 世界中のプロダクトが集まるキュレーションサイトProduct Huntにおいて、”Product of the day” を獲得

  • メインページにあるように、「Step 1」でキャラクターを生成してから、「Step2」でそのキャラクターのポーズを指定して画像を生成してみるのがおすすめ

  • 無料かつサインアップするだけで即使用可能

3. LLMは数学においても有用だった - 数学オリンピック金メダリストレベルの幾何学専門AIが発表

「AIは数学が苦手である」と必ずしも言えなくなってきています。Google発表の「AlphaGeometry」が、国際数学オリンピックで出題された30問のうち25問に正答し、金メダリストの平均25.9問に肉薄する結果を残しました。

幾何の問題と聞くと、適切な補助線を引くのが難しく発想力が必要な一方、一旦補助線を引けてしまえばあとは簡単、といったイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

平たく言えば、AlphaGeometryでは、基本的な論理展開は、既存の証明システムで処理しつつ、補助線や補助円を考える作業のみをLLMに託すことで、極めて高い性能を達成しました。

ChatGPTをはじめとするLLMは、段階的に論理を積み重ねていくこと(演繹的思考)が苦手な一方、高品質なアイデアを大量に生成することに長けています。このようなLLMの長所・短所を考慮した、非常に優れた設計と言えます。

LLMが数学を不得意な理由として、演繹的思考が苦手なこと以外に、十分な学習データ数を確保するのが難しいという点が挙げられます。この研究では、1億ものデータセットを人工的に作成してLLMに学習させることでこの問題を解決し、極めて高い性能を達成しています。

4. 最近、資金調達を行なった注目企業・ツール

今までとは視点を変え、最近資金調達を行なった注目の企業・ツールを見ていきましょう!

Layla | 資金調達額: €3M (2023年11月29日)

食事や旅行の行き先を決める際に、キーワードではなくビジュアルで検索する人が増えています。Google のシニアバイスプレジデントPrabhakar Raghavan氏によると、「2022年夏の時点で、若者の約40%がTikTokやInstagramで見たいものを検索」しているようです。

ドイツのスタートアップ Layla はこの行動変容と生成AIの登場にチャンスを見出しました。同社は、Instagramでの観光スポット検索から航空券・宿泊予約まで手伝ってくれるAIチャットボットを提供しています。

例えば、チャットボットにバルセロナ海岸の観光スポットに関する情報を教えてと依頼すると、Instragarmの投稿を動画付きで提示してくれます。必要に応じて、旅程を提案したり、航空券や宿泊施設の情報を提示してくれたりもします。

さらに、SkyscannerやBooking.comと連携しており、ダイアログ内で宿泊施設や航空券の予約情報を確認し、リンクを直接クリックして予約することも可能です。

ユーザーからの入力を元にAPIを呼び出してサービス情報を取得するという操作は現状難易度が高く、Laylaのチャットボットもまだまだプロトタイプレベルという印象です。それでも、生成AIの持つアイディエーション能力と旅行計画の親和性は非常に高く、技術進歩によって性能の問題が解決されれば、非常に有用なアシスタントになることは間違いありません。インスタ映えするスポットに行くことが主目的の旅行者にとって最高の価値体験を提供できるプロダクトになりうるでしょう。

Webアプリが提供されている他、Instagramのアカウントをお持ちの方は、こちらから試すことができます。

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございました。
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さらに、本年より18000以上のGPTsの掲載を開始しました。ぜひご覧ください!

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