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OpenAIが米大統領選ではじめてChatGPTの利用を禁止、Googleが超リアルな動画生成AIを発表など

sayhi2.ai Newsletterをご覧いただきありがとうございます!

今回は、インパクトの大きかったニュースや注目ツールの紹介に加え、AI研究分野におけるインフルエンサーの影響力を分析した論文について解説を行います!

1. 直近のビッグニュースTop 3

① 音声AI領域において遂にユニコーン企業が誕生

1月22日にAI音声ツールを提供するElevenLabs社がシリーズBで8000万ドルを調達しました。さらに時価総額は10億ドルを超え、AI業界における新たなユニコーン企業の誕生となりました。2023年6月の時価総額は1億ドルであったことから、約7ヶ月で10倍の成長ということになります。

ElevenLabsは、テキスト読み上げ・音声クローニング・吹き替えを行うソフトウェアやAPIを提供しています。音声クローニングでは、たった1分間の録音から自分の声を複製できます。これら3つの技術を用いれば、様々な言語の文章を自分の声で話してくれるAIを簡単に作成することが可能です。(詳しい使用感については次のセクションで解説しています)

ワシントン・ポスト紙をはじめとする出版、メディア、エンターテインメント関連企業を顧客に持ち、フォーチュン500企業の41%の従業員が使用している、といった華々しい宣伝がなされています。一方で悪評もあり、ElevenLabsを使用して、エマワトソンら著名人にヘイトスピーチをさせるといった悪用が後を立っていません。こうした問題を受けて、ElevenLabs社は調達資金の主要な使途の一つに安全対策の強化を挙げています。

LLMや画像生成AIの台頭に続き、昨年5月に動画生成AIを提供するRunwayが時価総額10億ドルを突破していましたが、遂に音声AI分野においてもユニコーン企業が誕生する形となりました。

② OpenAIが米大統領選挙ではじめてChatGPTの利用を禁じる

OpenAI社は1月19日、民主党候補であるフィリップス下院議員の支援団体に対し、選挙運動で使用していた対話型AIでのChatGPTの利用を禁止しました。政治活動でのChatGPT利用禁止は今回がはじめてのようです。

問題となった対話型AIは、過去のフィリップス氏の演説内容を学習しており、それを元に本人に似た話しぶりで市民からの質問に回答するというものでした。

それに先立つ形で、OpenAIは15日に「2024年の世界における選挙に対しどのように取り組むか」という題目で発表をしており、実在の人物(例:候補者)や機関(例:地方政府)を装ったチャットボットの作成をはじめとした、政治キャンペーンを目的としたアプリケーション作成の禁止を明言していました。

ChatGPTの登場を皮切りに生成AI分野が盛り上がりを見せて以降、初めての米大統領選となります。既にAIの悪用が目立っており、予備選不参加を促すバイデン氏の偽音声電話が、相次いで有権者にかけられるといった事件が勃発しています。

この電話は分析によって偽物だと確認が取れたようですが、AI生成物の識別は日に日に困難になっています。実際、AIが書いた文章かどうかを識別するモデルが役に立たないことが研究レベルで示されており、今後もこういった問題は増え続けるでしょう。

③ Googleが超リアルな動画生成AIを発表

Googleが新たに発表した動画生成AIモデル「Lumiere」。生成される動画の質がトップレベルである上、様々な機能がデモで公開されており、現在の動画生成AIの動向をキャッチアップするのにうってつけなモデルです。

例えば以下のように、「暗闇に青く光るネオンライト」や「可愛げなステッカー」といったスタイルを画像で指定することができ、その忠実さには目を見張るものがあります。

他にも、以下のような様々なタスクを行うことができ、こちらのページからデモを見ることができます。

  • シンプルにテキストや画像から動画生成

  • 静止画から動画を作る際、動かしたい部分をボックスで指定

  • 動画のスタイルを変換(例: 人物を折り紙やレゴ調に変換)

  • テキストで動画を編集(例:服や装飾品などの着せ替え)

2. SNSで話題のAIツールをピックアップ!

  • 最も有名な音声AIツールのうちの一つ。開発元はユニコーン企業

  • テキスト読み上げ・音声クローニング・吹き替えが行える

  • 日英を含む29言語に対応している点が魅力的。日本語入力の処理能力も高く、他言語への吹き替え等が非常に高精度

  • テキスト読み上げ・吹き替えは無料で使用可能

  • 音声クローニングも初月は1ドルで利用可能

  • 昨年11月にXでバズった以降も、進化を続けるリアルタイムお絵描きツール

  • テキストや描画を加えると僅か0.5秒程度で画像生成

  • 背景除去やスタイル指定機能が加わり、さらに使いやすく進化

  • 無料かつ、サインアップするだけで即使用可能

3. AI研究分野におけるインフルエンサーの影響力は?

AIの研究はレッドオーシャン化しており、毎日100本以上の論文が出版されています。それゆえ自身の研究を他の研究者に認知してもらうことすら大変です。こうした状況下で、Xで有用な論文を紹介する、AI研究分野におけるインフルエンサーとしての役割を果たしているアカウントがいくつか存在します。

このようなAI論文紹介アカウントのツイートが論文の引用数に与える影響を調査した研究がカリフォルニア大学の研究者によって発表されました。その研究では

「論文の質が(査読時に割り当てられるスコアの観点で)同じでもツイートによって引用数が2-3倍伸びる」

という大変興味深い結果が示されています。

青: Xアカウントがツイートした論文の引用数の分布
紫: それと同程度の質を持つ論文の引用数の分布
Xアカウントがツイートした論文の方が引用数が優位に多いことがわかる

このような結果になった主な理由として、

  • 論文の査読スコアが同じでも、論文紹介アカウントにツイートされることで引用が増える

  • 論文紹介アカウントが査読では測れていない観点で優れた論文を選び抜けている

が考えられます。いずれにせよ、SNSでの有力者に論文を紹介されることが、AI研究者にとって価値あるものになっていることは確かでしょう。

結果について、より詳しく知りたいという方はこちらの投稿をご覧ください。

4. 最近、資金調達を行なった注目企業・ツール

打倒Adobeに燃えるのはCanvaやFigmaだけではありません。今回は、最近資金調達を行なったばかりの注目企業Kittlを紹介します。

Kittl | 資金調達額: $36M (2024年1月)

Kittlは2020年に設立されたグラフィックデザイナー向けのソフトウェアを提供する会社です。同社によると、2023年にユーザー数が9倍に増加し、現在は100万に上ります。

この業界では元々、PhotoshopやIllustratorを提供するAdobeの一強状態でした。同社が提供するソフトウェアは非常に高度な編集が行える一方で、操作が難しいという問題点がありました。そのような状況下で、より手軽で直感的な操作を行いたいというライト層のニーズを満たすようなソフトウェアを開発する、CanvaやFigmaといった新興企業が力をつけてきています。

このようにデザインソフトウェア業界はレッドオーシャンになりつつありますが、Kittlは依然として大きなホワイトスペースが残されていると考えています。同社のHeymann CEOは「FigmaはUIデザインにおけるリーダーであり、Canvaはソーシャルメディアにおけるリーダーであるが、グラフィックデザインにおけるリーダーは今も昔も変わらずAdoobeである」と指摘しています。

Kittlは、プロのグラフィックデザイナーをターゲットに、一連のデザイン作業をまとめて行えるオールインワンのソフトウェアを提供しています。例えば、

  • Pinterestで画像を収集した後、デザインイメージを可視化するため、ムードボード(下画像参照)を作成

  • アイデアを固めた後、Unsplashでより高品質な画像を探し出す

  • それらをフォルダに入れ、Illustratorを起動する

といったワークフローと同等の作業が、全てKittl内で行えるようです。

インテリアデザインのムードボード一例

Kittlは、OpenAIの画像生成モデルDALL-E3を搭載する画像ジェネレーターや背景削除といったAI機能を提供していますが、競合他社と比べるとまだまだ未熟です。AdobeはFireflyと呼ばれるクリーンな画像のみを学習した独自の画像生成モデルや、豊富なAI画像編集機能を提供しています。Canvaが提供するMagic Studioプラットフォームでは、10以上のAI機能を全て使用することができ、こちらにおいても独自のAIモデルが使用されているようです。

生成AI技術が目覚ましい進化を遂げていますが、その進化速度は不確実性を大いに孕んでいます。こうした状況下で、AI機能の充実にどこまで注力し、競争を勝ち抜いていくのか、目が離せません。

さいごに

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