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OpenAIがアジア初の拠点を日本に設立!生成AIの認知率・使用率に関する大手5社の調査結果を徹底比較など

Newsletter from Mavericks (旧 sayhi2.ai Newsletter)をご覧いただきありがとうございます!

今回は、インパクトの大きかったニュースや注目ツールの紹介に加えて、生成AIが現在どこまで普及したのか、大手5社の調査結果をもとに解説していきます!

1. 直近のビッグニュースTop 3

① OpenAIがアジア初の拠点を日本に設立!

OpenAIは先週、アジア初の拠点を4月中に東京に開設することを発表しました。サム・アルトマン氏は昨年4月の岸田首相との面会時、日本に事業拠点を設ける意向を表明していましたが、これが実現する形となりました。米サンフランシスコに本社を構えるOpenAIは他にも、英ロンドンやアイルランドのダブリンに拠点を設けています。

昨年4月に自民党の会合に出席したアルトマンの様子 (the japan timesより引用)

日本経済新聞によると、同社は今回の拠点開設を機に、顧客サポートを含めた独自の法人向けサービス提供に乗り出すようです。

OpenAIは既に、法人向けに様々なサービスを展開していますが、その中でもモデルの個別最適化のニーズは高いでしょう。先日のOpenAIによる発表にて紹介されていた事例を、以下に2つ紹介します。OpenAIの発表に倣う形で、出力フォーマットの固定などを目的とした、軽めの最適化を「ファインチューニング」と呼び、知識を注入するなど、大規模なデータが必要な最適化を「カスタムモデルの学習」と呼ぶことにします。

求人プラットフォームのIndeed社は、求職者のスキル・経歴・好みといった情報をもとに求人の推薦をメールで行っています。同社は、その説明をGPT-3.5を用いて生成していましたが、ファインチューニングを活用することでトークン量を80%削減し、メッセージ数を1ヶ月あたり100万件以下から2000万件程度に増やすことに成功しています。ファインチューニング済みのモデルは、出力フォーマットや語調等をプロンプトで指定する必要がないため、このような削減に成功したと考えられます。

弁護士向けにリーガルAIツールを提供するHarvey社は、LLMに過去の判例や法律業務に必要な他の知識を取り込ませるため、100億トークンに相当するデータ(大雑把には100万件の例に相当)を用いて、カスタムモデルの学習を行いました。その結果、事実に基づく回答が83%増加し、弁護士はGPT-4よりもカスタムモデルの出力を97%の確率で好んだとのことです。

今回の拠点設置によって、こういった事例が近々、日本企業からも出てくると期待されます。

② Stability AIが3分もの楽曲を生成できるStable Audio 2.0を発表

Stable Diffusionなどのオープンソースモデルの開発で知られるStability AI社が、楽曲生成モデル Stable Audio 2.0を発表しました。TIMES紙のBest Inventions of 2023に選ばれたStable Audioの後継モデルであり、潜在拡散技術を用いて、44.1KHzステレオ、最長3分もの高品質な楽曲を生成することができます。

Stable Audio 2.0はtext-to-audio, audio-to-audioの機能を有しています。text-to-audio機能では、プロンプトから、楽器や音楽ジャンルを指定して、メロディー・効果音などを生成できます。

audio-to-audio機能では、キーボードの打音から街のざわめきまで、あらゆる音声のスタイルやトーンをテキストで指定することによって変換できます。特に「デンデンデデン…」といったように口ずさんだ音楽を、ドラム音に変換するデモ音声 (X投稿) は聴きごたえがありました。

AI音楽生成における重要なトピックの一つに著作権問題があります。AIを使ってカバー楽曲を生成できる「AI Hub」のDiscordサーバーが、昨年10月に著作権苦情を受けて一時削除されている他(現在は復活)、歌の生成で有名なSuno AIも学習データの出所を明らかにしていません。Stable Audio 2.0はライセンスされたデータセットを用いて学習されている上、アーティストは学習データから楽曲を削除するよう申請すること(オプトアウト)も可能です。こういったクリーンなモデルが今後どれだけ増えてくるか、動向を注視していく必要があります。

Stable Audio 2.0はAPIでの提供が予定されている他、既に無料で試すことができます。使い方については次のセクションにて説明しています。

③ CB Insightsが2024年で最も有望なAIスタートアップ100を発表

ビジネス分析プラットフォームを提供するCB Insights社が、2024年で最も有望なAIスタートアップ100を発表しました。次世代AIチップLPUを開発し、500 token/sという非常に高速なスループットのLLMを提供するGroq社や、音声AI領域における初のユニコーン企業となったElevenLabs社など、今をときめく錚々たる面々がランクインしています。

そのうち米国に拠点を置いている企業は、69社に上ります。日本に拠点を置く企業としては、小型AIモデルやその関連技術の開発に取り組んでいるSakana AI社が唯一選ばれています。

従業員あたりのバリュエーションについては、Sakana AI社が100億円越えでトップの座を獲得。続くMistral AI, Anthropic, OpenAI, Rekaは全てAIモデルの開発を行う企業と、興味深い結果になっています。

これまでの結果と比較すると、アーリーステージ(シード・エンジェルまたはシリーズA)の企業は、一昨年、昨年でそれぞれ39社、半数程度だったのに対し、今年は68社と2年連続で大幅に増加しています。生成AI分野業界におけるスピード感の重要さと移り変わりの速さを改めて感じます。

2. SNSで話題のAIツールをピックアップ!

  • 44.1KHzステレオ、3分間の高品質な楽曲を生成できるツール

  • text-to-audio機能だけでなく、audio-to-audio機能もあり、キーボード音をドラム音に変換できたりもする

  • 1分半の楽曲生成に40秒程度かかる

  • 無料プランでは、最大1分半の楽曲を15曲生成可能

  • PCカメラを使って誰でもVTuberになれるツール

  • 手、指、口などの追跡機能に加えて、新たに全身トラッキング機能が追加され、ジャンプやターンも可能

  • 撮影用カメラなど特殊な機器は一切必要なし

  • 体験版をローカルPCにダウンロードして無料で使用可能

3. 大手5社の調査結果から生成AIの普及度合いを紐解く

OpenAIが先週、ChatGPTをアカウントなしで誰でも利用できるようにすると発表しました。これにより、生成AIの普及がさらに進んでいくことが予想されます。では現在、生成AIはどこまで世間に浸透しているのでしょうか?大手5社が行った調査をもとにまとめました。

① 認知率・使用率

以下の表に国内の調査結果をまとめましたが、調査ごとにターゲット層が異なっている点に注意です。PwCが大手企業で一定クラス以上の従業員を対象としているのに対し、DocuSign, NRIは一般のビジネスパーソンを対象としており、GMOはより広く一般層を対象としています。

大手4社が行った生成AIの認知・使用に関する調査結果のまとめ

3行目を見ると、大手企業で一定クラス以上の従業員の生成AIの認知率が、昨年10月の時点で96%に上っていることが分かります。また、NRIの調査結果が半年前であることを考慮すると、ビジネスパーソンでは80-90%程度にまで到達していると考えられ、大体の人が知っていると言って良いでしょう。一般層になると60-70%まで下がるようです。

DocuSignの結果を見ると、ビジネスパーソンの業務における使用率は、生成AIを聞いたことがある人の中でも60%であり、まだまだハードルが高いことが伺えます。一般層になると、さらに25%にまで落ち込みを見せます。

② 認知率の変化

生成AIの認知度について、PwCのデータでは昨年4月から10月にかけて40%上昇、NRIのデータでは昨年5月から10月にかけて26.8%上昇という結果になっており、昨年3月に公開されたGPT-4が与えた影響の大きさが伺えます。

直近半年での変化が分かるようなデータはまだ出てきていませんが、認知から活用に向けてフェーズがどこまで移り変わっているかに注目したいところです。

生成AIの認識度合いの変化(PwC「生成AIに関する実態調査2023 秋」より抜粋)

生成AIの認知度の変化(NRI「生成AI利用に関する就労者調査(2023年10月)」)

③ 海外との比較

上記とは別にGfK Japanが昨年12月に、日本・米国・英国・インドの男女16-99歳に対して、ChatGPTに関する意識調査を行っています。

下のグラフを見ると、国内におけるChatGPTの認知率は62%、使用率は33%と、他国と比べると極端に低く、普及が遅れていることが読み取れます。特に使用率の開き具合は大きく、今回のChatGPTの解放を機に一人でも多くの方が、生成AIに触れてくれたらと思います。

各国におけるChatGPTの認知度
(GfK Japan「ChatGPTをはじめとした生成AIに関する意識調査」)

各国におけるChatGPTの利用目的
(GfK Japan「ChatGPTをはじめとした生成AIに関する意識調査」)

さいごに

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